報告から3週間経って

V6解散報告から3週間が経った。今の気持ちを文章にしてみようと思う。本当は1週間の時点で記しておこうと思ったらあれよあれよといううちに3週間も経ってしまった。

前回の文はかっこつけすぎて恥ずかしい。今回の文も結局大分ポエミーになった。

 

この3週間は早かったような長かったような感じだ。

直後の金土日は事あるごとに泣いていた。特に「テレパシー」や「〜此処から〜」は泣いてしまう。「ミュージック・ライフ」はあんなに楽しい曲なのに、だからこそ泣けてきてしまう。

それでも生きてかなくちゃいけないからご飯は食べるし仕事にも行く。

 

1週間経った時点では解散ってよくわからないな?の状態になっている。

11月1日までしか6人が揃っているのを見られないということを情報としては理解しているんだと思うけれども、その先が全く想像できない。どういう状況になるのか、どういう気持ちになるのか。

ハロプロも応援しているから卒業には慣れているけど、母体であるグループ自体がなくなるのがファンという当事者としては経験していないから見当もつかない。

2週間経って、解散は脇においてとりあえず今を楽しもうという気持ちになった。それは3/15の三宅健のラヂオの影響が大きい。「おたくのグループに三宅健いらっしゃらないの??」と井ノ原くんではないが言ってしまいたくなるような、悲しいほどにできすぎたアイドルである。ここまでファン目線に立って公式な発信ができるのがすごいと思う。

メンバーも考えて悩んでの末の解散なのだから、ファンはそれを受け止めることしかできないし、彼らが見せてくれるエンターテイメントを楽しむことしかファンにはできない。ならばせめて供給されたものを味わい、彼らがV6として世に出してくれるものを自分にできる範囲で精一杯消費し尽くすしかないのだと思う。

 

今まで「解散」という言葉を使ってきたが、個人的にはこの発表にあまりその言葉は使いたくないと思っている。「解散」にはV6というグループが散り散りになってしまうようなネガティブなイメージがどうしても付き纏ってしまうからだ。前回の文の中では「死」と例えたが、あれは流石に暗すぎた。Twitter上では「完成」「完結」といった言葉をみた。とても素敵な言い回しだと思う。

健くんは前述のラヂオで

「もちろん30年、40年続いてったら、そんなに幸せなことはないとは思いますけども、みんながヨボヨボになってまでやってることが、果たして良いことなのかと思ったりもするし、ジャニーさんが作ってくれたものを1番綺麗な形で大切な箱にしまえるのかもしれない」

と言っている。大切な箱という言葉が、逃げ恥の百合ちゃんが言っていた「このときめきを箱に閉じ込めて時々取り出してニヤニヤするわね」という言葉と似ているなと思った。

 

今回の発表について、個人的には「卒業」という言葉を用いたい。V6の6人が「V6」というグループから全員揃って卒業するようなイメージだ。ジャニーさんがつけてくれた名前を残す少年隊やTOKIO、それぞれの場所で活躍しているSMAP、メンバーが減っても活動を続ける関ジャニ∞やNEWS、休止を選択した嵐…他のグループもそれぞれの形が尊いと思うが、ジャニーズの中でも綺麗なかたちで終わりを迎えられる方ではないだろうか。シングルを出し続け、毎年ではなくなったもののコンサートツアーを行い、カウントダウンコンサートにも出て(2020-2021は恨んでいます)、最後の年はラストアルバムの制作と全国ツアーの計画を立ててくれている。記念グッズもV6のことだから何を出してくれるのか検討もつかない。本当に福利厚生が行き渡ったグループである。女性アイドルではテッパンの卒業コンサートをジャニーズがやるのは光GENJI以来らしい。関ジャニ∞を横目で追っていた頃、錦戸亮くんが脱退したが、十五祭が終わった直後に噂はあったものの突然のことで驚いたのを覚えている。その頃に「ジャニーズも卒コンをすればいいのにな〜」と思っていたから、今回は見送る機会をくれて本当にありがたい。

 

先日庵野秀明さんに密着した「プロフェッショナル」という番組を見た。その中で庵野さんはエヴァを「終わらせる勇気」が必要だと語っていた。

「終わらせる」ということにも、「続ける」ということにもどちらも覚悟が必要だ。まして25年も看板を掲げ続けたものを下ろすのは相当の決心だろう。私は会社を1年少しで退職したが、それでも決めるのにも言うにも勇気がいったのだから、規模は全く違えど尚のことだと思う。惰性で続けてくれるよりはファンがV6を好きなうちに、ファン以外がV6を求めなくなる前に、V6が望むV6であるうちに決断してくれてよかったとも思っている。

 

でも寂しいものは寂しいし、辛いものは辛い。

3月31日放送のTOKIOカケルでは太一くんに「V6も解散だもんね!」と死角からデッドボールを投げられたし、4月3日のNext generationではとうとう発表後の収録分となり、トニセンが時間の許す限りメールを読んでくれた。ニノや太一くんのラジオで触れてくれ、時差でやられている。その度に自分はまだ消化できていないんだなぁと感じる。毎週金曜の退勤後に聞くことにしている「そんな顔しなくたっていい」は楽曲の雰囲気がずっと好きだったが、先日改めて聞くと

 恐れていたって時計は回るよ皆平等に
 気付かないフリしても
 うたかたと分かっていたって

 新たな時代をいくのさ

 そんな顔しなくたっていい
 本当はやりたい事だらけなんだ
 隠しきれないよもう
 ひねくれ者でも素直でいたいんだ

と歌っている。あまりにも状況にマッチしすぎている。顔がクシャクシャになったところで、カミセンが優しく「そんな顔しなくたっていい」と歌いかけてくれる。ようやく「そんな顔」がどんな顔かわかった。2019年1月に発売なので疑りすぎではあるが、この状況を見越してくれていたようにも感じた。とてもいい曲なので聞いてください。

 

11/1は笑顔で「いってらっしゃい」とV6に言いたい。そのかわり11/2からはしばらく寂しさを引きずらせてほしい。

終わりは始まりだから、そのうち悲しみにも慣れていくし、新たな場所で活躍する6人を見て喜ぶのだろう。でもそれはV6でもらえる喜びとはまた少し違った喜びで、ふとした時にV6の幻影を見てしまうのだと思う。ハロプロでも工藤遥ちゃんの亡霊オタをしているので多少は想像がつく。亡霊オタは現役オタからしたらめんどくさいものだが、許してにゃんの気持ちである。

 

井ノ原くんが「今は輪になることをすごく意識して活動をしている」とインタビューで答えている。また、健くんはラヂオ内で「1995年の11月1日からスタートして、2021年の11月1日で終わるっていうのが(略)『Full Circle』になるって言うか、1つのサークルを自分達で描いてる事になるのかな」と語っている。6人で1つの「V6」という輪になり、11月1日に最終形としてファンに提示して、それぞれの大事な箱にしまい、背中合わせで歩んでいくのだろうなと感じている。彼らは立ち止まって振り返ることはしないと思うが、ふらっと再会してくれるとこちらとしては嬉しい。

「まだまだ、僕たち6人だけにしか出来ないことを追求していきます」と語った彼らについていこう。その先に見える最終形がどんなものか、その先に何があるかを見届けるために。